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【少しオススメ】冲方丁さんの「十二人の死にたい子どもたち」レビュー!※一部ネタバレ有

【少しオススメ】冲方丁さんの「十二人の死にたい子どもたち」レビュー!※一部ネタバレ有

2019年1月に映画公開される
冲方丁さんの「十二人の死にたい子どもたち」
この手のミステリーは結構好きなのですが、冲方さんの作品を読むのは初めて。
一部イライラするキャラもいますが(作者の狙い通りなんでしょう💦)、【少しオススメ】です!
学生時代の学級会のノリや、ちょっとした推理モノとして楽しめる、
そんな「十二人の死にたい子どもたち」のレビューです!

あらすじ

廃病院に集まった十二人の少年少女。
彼らの目的は「安楽死」をすること。決を取り、全員一致で、それは実行されるはずだった。
だが、病院のベッドには”十三人目”の少年の死体が。彼は何者で、なぜここにいるのか?
「実行」を阻む問題に、十二人は議論を重ねていく。互いの思いの交錯する中で出された結論とは。

文庫版、背表紙より引用

登場人物

自分たちの「安楽死」を実行の議論をする為、受付でナンバープレートを持っていく子どもたち。
そのナンバー順に、ネタバレにならない程度にキャラクター紹介をします。

0番(プレート無しの為、仮称):??

議論を始める前から横たわっていた少年の死体。
少年の死について、
・議論するか
・議論せずに、安楽死を実行するか

が最初の論点となる。

1番:サトシ

主催者。
全ての準備を整え議論の進行役をそつなくこなす。
プログラミングされたロボットのようで、感情の起伏が感じられない。

2番:ケンイチ

空気を読めない。
思ったことを口に出すが、言葉にするのが下手。

3番:ミツエ

ロリータファッション。
周囲の目を気にせず、好きなことに突進して行く。

4番:リョウコ

マスクと深めに帽子をかぶる様子は、芸能人のよう。
素顔を隠し言葉数も少ないが、芯の通った強い意志が発声に現れている。

5番:シンジロウ

全体を客観的に観察し、相手の懐にスッと入り込むことが出来る。
物語を滞りなく進める推理役。

6番:メイコ

指示されないと決められない、自分の意思がないように見える。
思い込みが強い。

7番:アンリ

頭脳明晰、才色兼備な印象だが、高圧的な女王タイプ。

8番:タカヒロ

どこか上の空でボーッとしている。
思考を巡らせようとしても意識が混濁し、どもってしまう。

9番:ノブオ

坊主にメガネで、博士タイプの印象。

10番:セイゴ

金髪で骨太。
タバコを吸い、言葉遣いも荒く、いかにも不良然とした男。
(けど好きなタイプ😙)

11番:マイ

ギャル。
勉強が嫌いで頭は悪いが素直。

12番:ユキ

ずっと俯き、最低限の言葉しか発さない。
何かに怯えている様子。

死生観は主題にして、主題にあらず

誰でも「死にたい」と思ったことがあるのでは?
どーせ死ぬなら、苦しむより楽に死にたい。
「なぜ死にたいのか?」は十人十色。この物語はそんな死生観に焦点を当てています。
当てているものの、
10代特有の単純さ・愚直さからくる理由がほとんどなので、
人間の死生観を主題に読むことはオススメ出来ません。

ミステリー、エンタメとして楽しむ

廃病院という閉鎖空間(出ようと思えば出れる、準閉鎖空間)で起きる、
死にたい子供たちを前に、先に死んでいる少年。
その少年の死の理由を探る中で明らかになっていく、それぞれの生い立ちや思い。
そして新たに発生する事件。
「安楽死」を希望した子供たちが最後に選ぶのは・・

といった煽りには充分応えてくれる作品だと感じました!
途中、
「黒幕は意外とこいつ?」
と疑心暗鬼になりつつ、最後は
「ああ、なるほど。」
と納得感もあり、いい終わり方でした。

他にも
・主従関係の破綻
・私たちはテストを通過した、選ばれた人間
・お前の死にたい理由はそれ!?

など笑っちゃうポイントも結構あって、
11番:マイと6番:メイコのおかげで楽しめました。
以下ネタバレになってしまうので、嫌な方はそっとココで閉じてください💦
漫画版もあるので、小説が苦手な方もぜひ☺️


(ネタバレ有)面白かったところ!

主従関係の破綻

メイVSアンリ
自分では何も決められない、自分の意思のない人間かと思いきや、この場で死ぬことへの執着だけは揺るぎない。
その為にアンリに従ってきたが、使えないとわかると即主人を変える。
時には、自身が場をしきり。
時には、高い行動力で邪魔者を排除。
そして使えないと判断したアンリに喰ってかかるも返り討ちにされる。

このメイVSアンリで論理破綻した瞬間が結構ツボでした(笑)
周囲にいたらすごく嫌だけど、物語としてみれば好きなキャラクターでした。

私たちはテストを通過した、選ばれた人間

マイVSアンリ
議論が破綻しかける度にアンリが口にしていた
「私たちはテストを通過した、選ばれた人間!」
という一種の優越感を覆す、マイの一言。
ココを読んでいるときは、
「もしや、マイが黒幕なのでは・・」
なんて思ってたので、何の意図でテストの無意味さを暴いたのか謎でした。
が、マイは黒幕になれるような思考の持ち主ではなかったですね(笑)
物語も大きく動き出した瞬間でもあったので、印象深いシーンです。

お前の死にたい理由はそれ!?

大抵のキャラに対して、
「死ぬ前にできることがあるのでは・・」
と思いましたけど、マイの理由のアホさ加減はダントツ過ぎてたまげました。
本当に、この子を黒幕だと疑っていた自分が恥ずかしい🤒

でもこのマイとメイコは、僕の中でMVPですね👍
そして、この2名とVSしてくれるアンリに拍手👏

映画版の結末は?原作をどうアレンジするか?

原作通りに終わらせて、何の問題もないとは思いますが、どう見せてくれるんでしょうね。
イミテーションラブは、映画になったことでトリックがわかりやすくなりましたが、
「十二人の死にたい子どもたち」はどうなるでしょう?
公開が楽しみです。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。